2025シーズン開幕・王者室屋と挑戦者デビッドソン、極限勝負の行方は

王者と挑戦者がぶつかり合う新シーズン、いよいよスタート

シーズン開幕、注目の顔ぶれ

2025年のAIR RACE Xが開幕。昨年のシリーズ王者・室屋義秀選手が連覇に挑む今季、ランキング上位を狙うライバルたちとの実力拮抗の戦いに注目が集まります。中でも、昨年シリーズ3位のパトリック・デビッドソン選手は、開幕戦から優勝候補の筆頭として存在感を放ちました。

また、今季から新たにアーロン・デルー選手がフル参戦。オーストラリア出身の若きパイロットの鮮烈なデビュー戦にも期待が高まります。

タフなコースで際立つ予選のドラマ

初戦はテクニカルなトラックレイアウトが選手たちを迎えました。全長800mのコースには200m間隔でパイロンが設置されており、鋭い折り返しが連続する構成。「ビッグ8」と呼ばれる複数の連続ターン区間では最大12Gにも達する加重が発生し、パイロットには高度な身体制御と正確無比な操縦が求められます。

予選では、デビッドソン選手が60秒を切る圧巻のフライトを披露し、8ポイントを獲得。室屋選手が2位、ソンカ選手、コプシュタイン選手、ベラルデ選手、ルーキーのデルー選手、ブラジョー選手がそれに続きました。マクドナルド選手は機体コンディションの影響によりフライトが成立せず、タイムなしでの予選終了となりました。

決勝トーナメントは波乱と逆転の連続

準々決勝では、予選上位4名が順当に勝ち進む結果に。ヒートDでは、デビッドソン選手が序盤のローターンでオーバーG(規定超過)を記録しDNFとなりましたが、対戦相手のマクドナルド選手が飛行に至らず、デビッドソン選手が準決勝進出を決めました。

準決勝では、ソンカ選手と室屋選手、コプシュタイン選手とデビッドソン選手という対戦に。エアレース世界選手権の年間王者同士の顔合わせとなった室屋選手とソンカ選手の戦いでは、室屋選手が序盤からリードを守りそのまま勝利。コプシュタイン選手が先行したもう一方のヒートでは、デビッドソン選手が中盤で逆転し、「スカイループ」で差を広げてゴールしました。

新たに導入された3位決定戦は、両者ともにチェコのベテランによる対決。序盤でコプシュタイン選手がパイロンヒットによる2秒ペナルティを受け、続くターンではオーバーGを記録しDNFに。ソンカ選手が3位表彰台を獲得しました。

宿願の決勝、執念の逆転劇

そして迎えた決勝戦。予選1位のデビッドソン選手と、予選2位の室屋選手が激突しました。

かねてより「ヨシ(室屋選手)に勝ちたい」と語っていたデビッドソン選手にとっては、特別な意味を持つ対戦。一方の室屋選手も、急成長を遂げたライバルの存在を強く意識しており、両者の対決は開幕戦のハイライトとして注目を集めました。

レースは序盤、室屋選手がリードを奪い、正確なライン取りでテンポよく展開。しかし、「ビッグ8」と呼ばれる連続ターン以降のセクターで、デビッドソン選手がじわじわと差を詰め、終盤には両者ほぼ横並びに。

勝負は最後の「ファイナルストレート」にまでもつれ込みましたが、デビッドソン選手が、無駄のないギリギリのラインを飛び抜け、室屋選手を抑えてゴール。狙い続けた相手からついに勝利をもぎ取った瞬間となりました。

デビッドソン選手は、準々決勝でのDNFを除き、すべてのヒートで60秒を切る安定したフライトを記録。極限まで攻め切るスタイルが勝利を呼び込んだ開幕戦となりました。

開幕戦結果とシーズンの行方

開幕戦リザルト

1位:パトリック・デビッドソン(南アフリカ)

2位:室屋義秀(日本)

3位:マルティン・ソンカ(チェコ)

4位:ペトル・コプシュタイン(チェコ)

5位:アーロン・デルー(オーストラリア)

6位:ファン・ベラルデ(スペイン)

7位:ミカ・ブラジョー(フランス)

8位:エマ・マクドナルド(オーストラリア)

今季初戦で5位に入ったデルー選手の健闘も見逃せません。

シリーズランキングは、デビッドソン選手が33ポイントで首位に立ち、室屋選手が23ポイントで2位、ソンカ選手が18ポイントで3位。

次戦(7月6日決勝)では、このトップ3を中心とした争いが展開されると見られます。シーズンの流れを左右する重要な一戦に注目です。

AIR RACE X 2025 SERIES|Round 1 Finals